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上質の登山 初心者

株式が増加したのは、この時期に企業が設備投資の拡大やいわゆる財テク資金を目的に増資を始めとするエクイティ・ファイナンスを盛んに行い生保がその一部を引き受けたこと、ならびに高保証利率と契約者配当原資捻出のため、株式の益だしクロスを行ったことが大きな要因となっている。 また、生保会社は、1970年代後半から日米金利差が拡大するなかで、アッセト・アロケーションというコンセプトにもとづき、外国証券を中心とする海外投融資に力を入れ始め、80年代に入って急速に拡張させた。
その勢いは、85年のプラザ合意後、急激に円高が進んだにもかかわらず、89年度まで止まるところを知らず、対総資産占率は急上昇を続けたのである。 このアッセト・アロケーション戦略は、結果的に、急激に進んだドル安のため日米金利差による利益を上回る為替損を発生させることとなった。

生命保険会社は、バブル崩壊後、国内社債を中心とする円金利資産を積み増し、株式と外国証券の圧縮につとめた(海外現法の縮小・再編の動きもみられる)。 ただ、株式については、その後の低金利下で予定利率(保証利率)を賄うことが困難であったため、含み益をはき出すための益だしクロスを継続せざるをえなかった。
そのため、株式への新規投資を控えたものの株式簿価はそれほど下がらず、総資産占率も外国証券ほどには低下していない(なお、株式の売却益のみならず、94年度からは一部に旧保険業法84条(新保険業法112条)にもとづく株式の評価益の計上も行われている)。 93年以降、企業の借入需要の低迷および社債による調達の増加を反映して、公社債とりわけ社債の占率が上昇している。
このことは、市場(為替)リスクの大きな株式や外国証券から円金利資産への転換が進んでいることであり、すべての生命保険契約が円建てで予定利率を保証した契約である生保会社にとって、ALMの観点から好ましいということができよう。 金銭の信託はその大部分が特定金銭信託であるが、バブル期に大きく占率を高めた(前掲図8にあるように、89年度までは金銭信託と現・預金が区別されていなかったので、現・預金が伸びているように見えるが実態は特定金銭信託が増加しているのである)。
特定金銭信託は略称「トッキン」と呼ばれ、生命保険会社が金銭を信託した信託銀行に株式等の運用の指図を行い、その売却益などを信託配当(分配)金として受け取る金銭信託である。 これが増加した背景には、生保本体の株式売却益(キャピタル・ゲイン)は原則として準備金(86条準備金)として積み立てなければならず、予定利息や契約者配当の財源としえないという前述の「インカム配当原則」 があったからである。
96年4月に施行された新保険業法ではインカム配当原則は廃止された。 特定金銭信託は、当初取得原価で評価されたため、信託財産中の値上がりした株式等が売却される反面、値下がりした株式等が残される結果、信託財産が含み損を抱えることになるという問題が生じたため、現在は時価評価されている。
そのため、株式と同様に市場価格が低下すると評価損の計上が強制されるので、財務諸表に直接影響を与える。 こうして、株式の含み益というリスクのバッファーが激減した生命保険会社では、金銭の信託とりわけ株式トッキンの占率を減少させている。
以上述べたようなバブル崩壊後のポートフォリオの再構築によって、生保のポートフォリオは円金利資産(貸付、公社債、現・預金、コールローン)が増加している。 とりわけ、93年度以降、公社債の伸びが著しい。
他方、リスク資産たる株式、外国証券、特定金銭信託はそのウェイトを大きく下げ、不動産も僅かながら減少している。 ただ、リスクを管理しつつリターンをあげるという観点から、94年秋からの円高修正に伴い、95年度以降銘柄の分散等を図りつつ外国証券への投資を増加させる傾向にある。
97年4月以降の円高への揺り戻しもあって見合わせている会社もあるが、将来的には、金融のグローバル化のなかで、為替、信用、価格変動リスクをへッジしつつ一定規模以上の海外投資を展開していくことが求められている。 生命保険会社の当期剰余金は、バブル期の85年度から90年度までは順調に増加しているが、その後95年度まで減少傾向にある(その結果、個人保険の契約者配当は95年度まで6年連続で減少している)。
その理由は、保険料収入が新契約の減少と低料の影響でほぼ横ばいであること、史上最低の市場金利水準下で資産運用利回りが急激に低下したため利息配当金が減少したこと、費用(支出)面で保険金等の支払金が大きく伸びていることである。 とりわけ、90年度以降、景気低迷を反映して解約・失効率が悪化し、解約返戻金が増加していることである。

事業費は、各社の効率化への取り組みにより、また新契約の伸び悩みによる営業職員の手数料などの新契約費の伸びが低下していることから毎年改善されているが、その他の支出が大きいので、当期剰余金の減少に歯止めをかけるほどには改善されていない。 もっとも、96年度決算では、企業年金の予定利率引下げの効果を主因として当期剰余金が大きく改善され、個人保険の通常配当(費差配当)を7年振りに増配することを決めた会社もでている(N生命の数値がないので、継続データは取れないが)。
ただ、一律配当する会社、高額契約への傾斜配当や一部商品の増配にとどめる会社まで差がある。 さらに、疾病特約についても、一定期間給付金支払のない契約に対して健康配当を実施する会社もあり、契約者配当面での競争が一段と進みつつある。
図?は長期金利と予定利率の推移をみたものである。 生命保険会社は1985年4月、新契約の予定利率を最高6.25%(保険期間10年以内)にまで引き上げた。
この時点では、長期金利はすでに低下傾向にあったが、前年に簡保が予定利率の引き上げを行っており、対抗措置を講じる必要があったことと、好調な株式市場に支えられた莫大な含み益があり、それをバッファーとして外国証券投資による高利回りや株式のキャピタル・ゲインを含む総合利回りをもってすれば6.25%の保証も可能と考えられたからである。 しかし、その後の株式相場の崩壊(バブル崩壊)による含み益の激減と円高進行による巨額の為替差損の発生という資産内容の悪化に加えて、市場金利が大きく低下したことから高予定利率の保証は不可能になっていった。
そのため、生命保険会社は90年度以降、前述のように、93、94、96年と数次にわたって新契約の予定利率を引き下げざるをえなかった(企業年金についても、94年に5.5%から4.5%に、96年にはさらに2.5%に引き下げた)。 それでも、生命保険契約の長期性のゆえに保有契約全体の平均予定利率は急激には下がらず遅行性を持つため、市場金利(したがって運用利回り)が平均予定利率を下回るという逆ざや傾向が続いている。
このことが、生命保険会社の収益に及ぼす影響は大きく、固有業務の生命保険の引受けによる剰余(死差益など。 費差益は会社によって大きく異なる)があるため(一部の個別会社は別として)全体としては剰余金がマイナスにはならないものの、経営基盤を弱体化させている。

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